Tuning(チューニング)
2005年6月27日
楽器の世界では「調律」などと云うこともある。ギターやピアノの弦を合わせたり、ブラスバンドやオーケストラなどでは全員の音程を同じにする作業だ。ギター弾きなら誰もが持っている「チューナー」は便利な道具だ。こいつのおかげで最近チューニングが出来ていないバンドは少なくなった。昔は音叉や笛などで合わせていたし、それすら持っていないバンドが多く、めちゃくちゃなバンドがたくさんいたものだ。人の音を聞いていない証拠だな。

我々音響の世界でも本来そのような意味で使われてきたはずなのだ。がしかし全く違った方向へ導く手順のひとつになっている節がある。PAエンジニアはセットが終わり全てのチェックが終わるとおもむろにマイクを握りしめ「Hello one two」とか「testing mic」などとしゃべり始める。ひと昔前であれば校長先生の「本日は晴天なり」であろうか?まぁ校長先生のはマイクそのもののテストなんでチトはずれるな。

使い慣れたシステムであろうが、始めて使うシステムであろうが、エンジニアと云われる人種は「Hello one-two」とシステムに向かってしゃべり、イコライザーというものをいじりはじめる。ものすごくon-micでピーク+パルス系ばかりの声を出しつつだ。そんなことすりゃ耳障りなポイントも出てくるに決まっている。でそうやって無理矢理作り出した「ピーク」をイコライザーでカットして、自分好みの音に近づけていくわけだ。これを舞台(現場)音響の世界では「チューニング」という。(らしい)

ギターには普遍的な基本となる「音」の高さがある。Aは440Hzと全世界的に決まっている。しかし音響の世界にある「基本」はそのエンジニアの「好み」だという事。と云うことは「自分の耳」で判断しているという事。

それじゃぁ・・・・

「君の耳は万能なの?」

「50Hzから20kHzまでフラットに聞き取れる性能を持っている?」

「ある周波数に敏感に反応してるんじゃないの?」

「白状しなさいって、聞き取りづらい周波数があるでしょ?」

ましてや若いやつからお年寄りまで千差万別。耳の性能も違えば好みも違う、そんな多数を相手に自分の耳の性能を押しつけていいのかな。
音響屋になりたての頃のシステムはJBLが主流で、2way〜4wayまでいろんなバリエーションが選べた。その頃から頭の中に「?」があり、その「?」はと云えば「基本はどこにあるのか?」であった。ローとハイのバランスの取り方の基本だ。
 4343等のスタジオモニターにはネットワークが入っていて、最適にチューニングされたバランスと位相に仕上がっている。しかし、チャンネルデバイダーとパワーアンプだけでバランスを決めると云うことは、そこには確たる「基本」など何も無いという事で、あるのは「好み」と「記憶」だけなのだ。
 だから「これで良い」という安心感より「ほんとにこれでいいのか?」という不安感がいつもつきまとっていた。セットアップして音楽を流しても違和感があるのだ。たぶん位相もめちゃくちゃだったろう。
本題に戻ろう
ミキサーと呼ばれる職業に就いている諸君、お願いだからEQは好みで触らないで欲しい。そう君のその右手人差し指の話だ!
出来ればEQはノータッチにしてくれ。
そう云や、ゴルフの世界も基本はノータッチなんだよ。「あるがままに打つ」自分の都合で動かしたりしちゃだめなのよ。
言い換えれば、それくらい自分のシステムに自信を持ってくれっちゅうことだ。
それでもどうしようもない会場の場合のみEQに触る事を許可するものとここに定める(^^;)なんちゃって!